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- CWR 音響モールス信号受信練習プログラム
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- 0.はじめに
- モールス信号というものを御存知でしょうか?トン・ツーというあれです。一般的には電信として知られています。現在では業務用の通信にはほとんど使われなくなってしまいましたが、アマチュア無線の世界ではまだまだ現役で使われています。それというのもごく弱い電波でも聞き分けられるので小さい電力で遠距離通信ができるのです。出力に限りのあるアマチュア無線にとってはとてもありがたいのです。
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- アマチュア無線に興味のある方は御存知かもしれませんが、1990年5月に電波法の改正があり、アマチュア無線技師の資格や操作範囲が変わりました。旧電話級は単に資格の名称が4級と変わっただけですが、旧電信級は名称が3級に変わるとともに、送信電力の上限や使用できる周波数帯が広がりました。そのとき僕も3アマ(第3級アマチュア無線技師のこと。モールス信号を使って通信することができる。)にチャレンジするために電信の受信練習を始めました。最初は市販の練習用カセットテープを使っていたのですが、繰り返し聞くうちに順番を覚えてしまい効果があがらなくなってきました。また、一度聞けば充分な説明や、つまらないギャグを何度も聞かされてうんざりしてきました。それならいっそのこと自分で作ってしまえ、と思って考えたのがパソコンの音源からモールス信号音を発する方法です。
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- 調べてみるとFMRやFM-TOWNSのブザー音源は簡単に制御できることがわかり、MS-DOS上で動作するプログラムを作ってしまいました。最初はキーボードから入力した文字を発信するだけだったのですが、ローカルユーザや野次馬の意見を取り入れ、テキストファイル内容の発信や不規則文字の自動生成もできるようにしました。また、メニュー形式としてユーザインターフェースの向上を計ってみました。
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- わざわざ、プログラムまで作って3アマの試験に臨んだのですが、最初の挑戦では残念ながら不合格でした(;_;)。プログラムの開発に力を入れ過ぎて、かんじんの練習をあまりしなかったのがいけなかったのでしょうか?。その後、再挑戦して何とか合格できました(^_^)。一応、このプログラムにも効果があったと言えるでしょう。ちなみに、このプログラムを使って3アマに挑戦したのは4人でそのうち2人は一発合格、1人は2回目で合格(僕です(^_^;))、もう1人は1回目に不合格で次の挑戦を諦めてしまいました。
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- すでに4級を持っていて3級にステップアップしようとしている人や、最初から3級を受験しようと思っている人はどうぞ使ってみてください。また、4級だけで充分という人もこれを聞いて「そんなに難しくなさそうだ」と思ったら、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?。
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- 「無線なんて興味無い」という人も、これを機会に興味を持ってもらえたら嬉しく思います。現在アマチュア無線界では、電波を使ったパソコン通信(パケット通信と言います)が盛んです。有線のパソコン通信をやっている人なら、きっと興味を持ってもらえると思います。
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- 1.機能
- 指定されたテキストを、ブザー音を使って音響モールス信号として発信します。テキストの指定はキーボード入力、テキストファイルからの読み込み、および不規則文字自動発生の中から選択できます。入力したテキストの画面表示方法は、送信しながら表示、全テキスト送信後に一括して表示または無表示の3種類の中から選択できます。送信する文字の種類は、英字のみ、英字と数字、英数字と多用する記号(/と?)および全欧文符号の4レベルから選択できます。入力したテキストに指定された以上のレベルの文字が含まれていたら、その文字は無視されます。送信する速度、発信音の周波数および音量(FMR-30のみ)を調節することができます。
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- 2.インストール
- CWRはMS-DOSの普通のプログラムと同じように、PATHの通っているディレクトリならどこにあっても構いません。また、フルパス指定で起動すればPATHが通っていなくても平気です。起動する時には、プログラム本体「CWR.COM」以外に必要なファイルなどは一切ありません。プログラム自体も「.COMファイル」なので、リアルメモリに空きが64Kバイトもあれば充分です。
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- 3.操作方法
- 文字表示画面とキーボード入力を使うので、一般のMS-DOSアプリケーションと同じようにコマンドラインから起動するか、TOWNS-OSV2.1のコンソール環境(またはORICONやARICONなど)を使うことになります。TMENUから直接起動するときには、MS-DOSプログラムとしてアイテム登録する必要があります。また、「.IF2」ファイルでデータ起動指定するときは、「CWR.COM」をCONSOLE.EXEのパラメータとして定義する必要があります。
- 起動後、初期設定をしてコマンド入力待ちになります。ここでキーボードの操作によってコマンドを入力します。コマンドの入力方法は、カーソル移動(↑,↓)によるメニュー選択またはコマンド文字による指定ができます。
- 一番最初はカーソルは表示されてはいません。カーソル移動(↑,↓)キーを押すとカーソルが現れます。ここで言うカーソルとは反転表示のことです。何度かカーソル移動キーを押して希望するコマンドのところにカーソルを移動させ、リターンキーか実行キーを押してください。これでコマンドが選択できます。
- もう1つの方法としてコマンド文字による選択があります。コマンドメニューの左側にある文字のキーを押せば、カーソルがどこにあってもそのコマンドが選択されます。リターンキーや実行キーを押す必要はありません。
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- 上記のいずれかの方法でコマンドを選択すると、コマンドパラメータの入力を要求されます。コマンドの種類によって数値を入力するか、カーソル移動(←,→)または文字指定によって項目を選択してください。このときの項目選択の方法は、コマンド選択の時と同様です。コマンドによって変更された値は表示色が黄色に変わります。1回送信し終わると表示色は元の水色になります。ただしFMR-30やFMR-50LTなどモノクロディスプレイのものは(当たり前ですが)変わりません。
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- 送信を開始するにはカーソル移動(↑,↓)によって送信開始コマンドを選択するか、コマンド入力待ちのときにSPACEキーを押します。指定された動作で送信を開始します。全テキストを送信し終わると、再度コマンド入力待ちに戻ります。
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- 終了するときはカーソル移動(↑,↓)によって終了コマンドを選択するか、コマンド入力待ちのときにESCキーを押してください。画面に表示されている内容を消去して、プログラムが終了します。
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- 4.コマンド
- ・表示方法/[D]コマンド
- 送信した文字を画面にどのように表示するか選択します。表示方法には一括表示,同時表示および無表示があります。一括表示は送信終了後に、いま送信した文字を全て表示します。同時表示は送信しながら1文字単位で表示します。無表示の場合は画面には表示しません。
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- ・送信速度/[S]コマンド
- 送信速度の調節として、1分間当たりに送信する文字数を設定します。設定可能範囲は毎分10文字から毎分120文字までの間です。この設定速度は標準的な文字種で構成された文のときの値なので実際の送信速度とは異なることがあります。また内部の計算で切り捨てをおこなうので、入力した値と実際に設定される値とが一致するとは限りません。設定値のほうが少し早くなります。この誤差は送信速度が速いほど大きくなります。初期値は毎分25文字です。
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- ・音 調/[T]コマンド
- 発信音の周波数を調節します。調節可能範囲は0[Hz]から19200[Hz]の間です。ただし0[Hz]に設定すると音は出ません。初期値は1200[Hz]です。
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- ・音 量/[V]コマンド
- 発信音の音量を調節します。調節範囲は0から15までです。0は無音、1が最小音で15が最大音です。この機能はボリュームつまみの無い,FMR-30HD/FD/BSなどだけに有効です。FMR-30HXやFMR-50,60,70,80およびFM-TOWNSなど、外部からボリューム調節する機種では、なにも動作しません。直接ボリュームつまみで調節してください。初期値は4です。
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- ・文字種類/[L]コマンド
- 送信する文字の種類を、レベル0からレベル3の内から選択します。レベル0は英字のみ、レベル1は英字と数字、レベル2は英数字と多用する記号(/と?)、レベル3は全ての欧文符号が送信の対象となります。ファイルやキーボードから入力したテキストを送信する場合、ここで指定されたレベル以上の文字が含まれていても発信せず、画面にも表示しません。初期設定はレベル0の「英字のみ」です。また、和文は送信できません。テキストファイルやキー入力文字に含まれていても無視します。
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- ・不規則文字指定/[R]コマンド
- 送信テキストを不規則文字に指定します。コマンドパラメータとして文字数を入力してください。
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- ・ファイル入力指定/[F]コマンド
- 送信テキストを入力するファイルを指定します。ファイル名を指定してください。
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- ・キーボード入力指定/[K]コマンド
- 送信テキストをキーボードから入力できるようにします。
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- ・送信開始/[SPACE]コマンド
- 指定された動作で音響を発し、送信を開始します。画面表示が指定されていた場合、送信した文字を画面に表示します。全テキストの送信を終了すると、コマンド入力待ちに戻ります。
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- ・終了/[ESC]コマンド
- プログラムを終了させます。プログラムが終了すると、画面を消去しMS-DOSのコマンドラインに戻ります。
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- 5.コマンドラインオプション
- 起動時のMS-DOSコマンドラインにオプションパラメータを指定することによって各動作の初期値を変更することができます。第4項で説明したコマンドのうち、D,S,T,V,LおよびRコマンドや、Fコマンドのファイル名を起動時に入力しておくことができます。バッチファイル中によく使用する設定を記述しておけば、起動後にいちいち変更する手間が省けます。
- なおオプション文字は大文字、小文字どちらでも有効です。以下の説明で<n>は十進数値を表します。
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- -D={B|R|N}(表示方法指定)
- 表示方法の指定です。B、RおよびNは文字をそのまま指定します。大文字、小文字どちらでも有効です。-D=Bは一括表示の指定です。-D=Rは同時表示の指定です。-D=Nは無表示の指定です。-Dオプションが指定されていなければ、表示方法の初期設定は「一括表示」です。
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- -S=<n>(送信速度指定)
- 送信速度を毎分<n>文字に指定します。ただし、<n>は10から120まででなければなりません。もしこの範囲を越えるときはそれぞれの境界値が採用されます。-Sオプションが指定されていなければ、送信速度の初期値は「毎分25文字」です。
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- -T=<n>(発信周波数指定)
- 発振音の周波数を<n>[Hz]に指定します。-Tオプションが指定されていなければ発振周波数の初期値は「1200[Hz]」です。ただしFM-16βではハードウェアの制約から、実際に発生する周波数は9600[Hz]の約数のみとなります。
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- -V=<n>
- 発信音の音量調節です。<n>は0から15まででなければなりません。もしこの範囲を越えるときはそれぞれの境界値が採用されます。0は無音で、15が最大音量です。-Vオプションが指定されていなければ、音量の初期値は「4」です。このオプションはFMR-30HD/FD/BSなどプログラムで音量の設定が可能な機種だけに有効です。
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- -L=<n>
- 送信対象となる文字の種類を規定します。<n>は0、1、2または3です。0は英字のみ、1は英字と数字、2は英数字と多用する記号(/と?)、3は全ての欧文符号を対象とします。-Lオプションが指定されていなければ、文字種類の初期設定は「英字のみ」です。
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- -R=<n>
- 送信テキストを<n>文字の不規則文字に指定します。
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- -K
- 送信テキストはキーボードから読み込みます。
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- <ファイル名>
- 送信テキストを<ファイル名>のファイルから読み込みます。
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- -Rオプション、-Kオプション、読み込みファイル名の指定が1つもなければ送信テキストは50文字の不規則文字になります。これらのオプションが同時に複数指定された場合には、一番最後のものが有効になります。
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- 6.解説
- 符号構成は短点の長さを基準として、長点を3、点間を1、字間を3、語間を7、行間を14とする標準構成です。
- ただし、\で始まる語は字間を1に詰め、1文字として送信します。このときテキストは、画面には反転表示されます。この効果は再び\が現れるか、語が終わるまで(空白やタブ、改行によって区切られるまで)続きます。
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- 本文(BT)、終了(AR)や訂正符号(HH)などに使います。
- 送信速度は最低、毎分10文字から最高、毎分120文字までに限定されていますが、これ以外は実用的ではないためです。また、送信速度といってもあまり厳密なものではなく大体の目安と思ってください。送信速度の速いところでは計算の関係で(整数の割り算による切り捨てです(^_^;)。)不正確になりがちです。また、1文字送信に要する時間は文字ごとに違うので、平均的な文での送信時間を基準にしています。ちなみに、欧文モールス符号では出現頻度の高い文字ほど短く送信できるように作られています。たとえば、eは短点1つ、iは短点2つです。逆にxやzなどあまり使われない文字では長くなります。
- 空白やタブなどの区切り記号は、複数個続いてあっても1個分として数えます。復帰や改行などの復改記号も同様に複数個続いていても、1個分として数えます。また復改記号に続く区切り記号は、全て無視します。
- テキストとして不規則文字を指定すると、自動的に先頭にHR HR \BT\、末尾に\AR\を付加して送信します。これらは文字数には数えられません。「HR HR」はHear! Hear!の省略形で、「よく聞きなさい。」の意味です。\BT\は「本文」、\AR\は「終了」を表す記号です。実際の通信や、試験では必ず付加されるものです。
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- 7.おわりに
- 本プログラムおよびこのドキュメントの著作権は原作者にあります。改変および再配布は自由にして構いませんし、原作者に断る必要もありません。まさかあるとは思いませんが、営利目的の場合でも同様です。ただし、再配布の場合でもこのドキュメントは必ず添付してください。改変のうえで再配布する場合は、改変内容と改変した人の氏名(またはIDとハンドル名)およびその日時をこのドキュメントファイルに追記してください。また、本プログラムおよびこのドキュメントを使用して発生したいかなる損害も原作者は一切の責任を負いません。バグが発見されても、作者は修正の義務は負いません(^_^;)。もちろん、修正のための努力はしますが、色々な都合ですぐに対処ができるとは限りませんから。
- このプログラムを使用しての感想、バグ情報、改善要望などをお送り下さい。とくに、褒め言葉は大歓迎です(^_^)。
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- 原作者 NIFTY-Serve HCD00211 -RYO-
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